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最高裁判所第一小法廷 昭和30年(オ)810号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人弁護士時田至の上告理由。

論旨は戦時罹災土地物件令二条及び同法附則三項にいうところの「空襲其ノ他戦争ニ起因スル災害ニ因リ滅失シタル建物ノ敷地」とは、単にその文字どおりの土地をいうだけのものではなく、その中には疎開建物の敷地の如きものをも、包含する趣旨であるとの見解の下に、所論借地権は被上告人に対抗できる筋合であるとの主張に帰する。しかしながら右勅令は戦時緊急措置法一条六号の規定に基づき、戦災の善後措置を講ずるため発布施行されたものであるから、右条項にいうところの敷地とは、その文字の示すとおり空襲その他戦争に起因する災害に因つて滅失した建物の敷地を指称し、疎開建物の敷地の如きは、これに包含されないものと解するを相当とする。(原判決が罹災都市借地借家臨時処理法一〇条の適用について示した判断も正当である)

所論は、右と相容れない独自の見解の下に、原判決に所論の違法ありというのであつて採るを得ない。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 下飯坂潤夫 裁判官 真野毅 裁判官 斉藤悠輔 裁判官 入江俊郎)

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